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2013年5月14日 (火)

インバル/都響@フェスティバルホール 2013年5月13日

大阪のフェスティバルホールへ。エリアフ・インバル指揮、東京都交響楽団の大阪特別公演。


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この4月に新装開店となったフェスティバルホールのオープニングシリーズの一環。首席指揮者が振る在京オケのコンサートって、関西ではめったにない。むしろウィーンフィルの方が聴ける機会が多いくらい。江戸を賑わすインバル=都響の上洛は、まさに千載一遇のチャンス。チケットも完売とのこと。


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本日の演目、

ウェーバー:「オベロン」序曲

チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲(チェロ:宮田大)

チャイコフスキー:交響曲第5番

新生フェスティバルホール、レッドカーペットが敷かれた大階段を昇ると、右手にチケット入場口、左手にクローク。なので荷物は入場の前に預ける必要あり。このクローク、係りの人が荷物を預かり室へ運び入れるたびに目隠し用の扉を開け閉めする。そのように躾けられているのだろうけど、バカ丁寧すぎる気が…。入場すると、長いエスカレーターで1階ホワイエへ。綺麗!


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今日の席は1階の21列の中央!ちなみに23列目あたりから2階席の傘の下に入る模様。特筆すべきは視界の良さ。傾斜が絶妙な加減でついていて、前のひとがほとんど気にならずに舞台を見渡せる。


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最大の関心は音響。旧ホールのときに、1階前方左サイドで、ホルスト=シュタイン指揮のウィーンフィルを聴いたことがあるけど、何だか遠くの方で音が鳴っていた感じの記憶がある。さて、新ホールでは?

まずは「オベロン」序曲。弦は1stから高音順に並ぶ16型。コントラバスは舞台右手。インバル、のっしのっしと登場。予備の指揮棒をチェロのトップのひとに預けて開始。何てことはない曲の、何てことはない演奏。インバルの指揮は相変わらず意図が明確。ラストは左手で1stを指差してクレッシェンドを指示し、ホルンに向けて両腕をV字に広げてアクセントをつけさせ、最後に両腕を高々と掲げてトランペットの強奏を引き出す。ホールの音響以前に、オーケストラが鳴り切っていない感じ。どうした都響?

続いて、今を時めくチェリストの宮田大が登場。このひとのことは2012年にBS朝日で放映された「カルテットという名の青春」というドキュメンタリーで知った。ここで取り上げられたジュピター・カルテットはもう解散されたみたいだけど、1stの植村太郎、2ndの佐橘マドカはすでに聴いたので、あとはヴィオラの原麻理子でコンプリート達成できる(笑)。

チャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」。宮田くんは、丁寧に歌い込もうとしている。中低音もよく鳴っている。問題は高音の精度。曲との相性も前半の"ロココ"より、後半の"ロシア"調の方が良かった気がする。アンコールはサン=サーンスの白鳥を独奏で。フランスではなく、ドイツ産の白鳥。

休憩後、メインのチャイ5。ふたたび16型。1楽章冒頭。あれ?前2曲と全然音の聴こえ方が違う。今まで舞台と客席の間にあった幕がなくなって、音が生々しく伝わってくる感じ。耳が慣れたのか、それとも演奏が変わったのか?おかげでヴィオラの凝ったフレージングが雄弁に聴こえてくる。2本のクラリネットも息がぴったり。これはいいぞ!やがて盛り上がってきて金管の登場。すさまじい音圧に会場中の空気が震える。インバルはやっぱり金管の鳴らし方が抜群にうまい。これだけ強靭なフォルテでもそれぞれのパートのリズムやフレーズが明晰に聴こえてくる。ティンパニともドンピシャだし。

2楽章へはアタッカで突入。そうすると1楽章の終わりからチェロ→コントラバス、そして2楽章冒頭のヴィオラ→セカンドヴァイオリンという詠唱の流れが繋がる。これ良い。ホルン首席のひと、今日はソロが多くて大変ですね(笑)。このホルンの主題がヴァイオリンに回帰してきた部分の心が震えるような美しさ。インバルも思い入れがたっぷりあったのでしょう、うなるような歌声が聴こえてきました。そしてしだいに音楽は高揚していき、ホールは圧倒的な幸福感で満たされる…、とそこへそれをばっさり断ち切る金管の運命の動機。ああ、何てこったいチャイコフスキー!あまりにも激しい運命の変転におもわず涙が出そうになりましたよ。そのあと、運命に打ちのめされボロボロになりながらも、もう一度歩みだそうとする決意に満ちた弦の表情に再度涙をこらえる。なんという劇的な音楽。インバルすごいね。チャイ5の精神は2楽章にあり。

3楽章もやっぱりアタッカで開始。最初はすこし落ち着いたテンポで抑揚もなく進んでいくが、クラリネットとファゴットが入ってくるに及んで一転して自在な緩急をつけた歌いまわし。このへんのオケのアンサンブル見事。さらに驚いたのが中間部。セカンドとチェロがピッチカートの受け渡しをしつつ、ファーストとヴィオラが細かいパッセージの受け渡しをしつつ、木管とホルンがまた別のフレーズの受け渡しをしているという同時進行が、すべて明瞭に聴こえてくる。そのなかで強調したい部分をインバルが指示すると、ちゃんとオケが反応する。もう本当によく訓練されている。おそるべし都響。

4楽章も当然素晴らしい。圧倒的な音響に終わった瞬間あちこちからブラヴォーがかかり2700席が満席の会場から盛大な拍手がわき起こる。でも、本当のクライマックスは2楽章でしたっと。

アンコールはブラームスのハンガリー舞曲第1番。力強く足を踏み鳴らすダンス。


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ということで、フェスティバルホールの音響、まだ1回だけの体験だけど、都響クラスのオケが後期ロマン派をやる分には問題がないのでは?でもベートーヴェンはシンフォニーホールで聴きたいし、モーツァルトはいずみホールで聴きたい。


前回のインバル/都響(2013年1月20日)⇒⇒⇒


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